演奏会感想の部屋

 

 
 <全国大会あれこれ その1>
 

 ●眠らない街・熊本

 「黒亭」のラーメンも食べ、友人が「金おろしたい」と言うので
銀行を探すことに。
 ・・・しかし熊本、駅前だというのに
探せども探せども銀行が見つからない。
 キャッシュディスペンサーがあるような大きい建物も見当たらない。
 夏のような暑さの中、(いやマジで暑かったんです。11月?うそ!)
コートを脱いでも汗だくになり
 「おい! 駅前ってもっと栄えてるもんじゃないのか?!」
 「地方都市の駅前ってこんなもんなのかなあ。
  わ。もう住宅街だ〜」

 後で気づいたのですが、
熊本は駅前と繁華街が少し離れているのですね。
 その繁華街はかなり大きくニギヤカで。

 さらに驚いたのは初日の打ち上げ3次会を終え、
どれ、熊本の夜の空気を吸ってみるべえ、と
外に出た “午前3時”。

 「…なんでこんなに人がいるんだ?!」

 土曜の夜(正確には日曜ですが)とは言え、
日が変わる前の時間帯のように多くの人が元気に遊んでいるし、
飲食店もその多くがまだまだ絶賛営業中。
 
 朝の6時まで開いているドンキホーテもあるし、
さらに私にとって衝撃的だったのは
かなり売り場面積の広い蔦屋書店が
週末だけのようですが午前4時まで営業していること。
 (ちょっと熊本に住みたくなりました・・・)

 乗るとイキナリ熊本弁で天下国家を論じる
タクシー運転手さんの多さも含め、
人も街も熱いなあ〜さすが「火の国・くまもと」!と思ったのでした。



 ●古豪復活!

 全国大会プログラム、中ほどを開くと過去の
 「全国大会優勝団体・金賞受賞団体」の結果が。

 第1回から何度も優勝団体として名前が出る
 「関西学院グリークラブ」。
 1964年以降は不参加を表明していたそうですが、
昨年からコンクールに参加し、
今年度は関西支部でもっとも優れた団体に贈られる
理事長賞を受賞し、久しぶりの全国大会出場!

 いっやあ〜関学(かんがく)グリー、
男声合唱を経験したものにとっては憧れの団体です。
 早稲田、慶応、同志社、関学から成る東西四連の中で
いちばん好きな団体だったかも。
 その柔らかくしなやかで、かつ力強い独特のトーンの“音源”を
何度聴いたことだろう・・・って、そう、私、
いままで生演奏で関学グリーを聴いたことが無いんです!

 熊本ラーメン食べて温泉入って。
 関学の出番は確か14時半だったハズ、と14時16分に
会場入りし、ああ間に合った。やれやれ。
 久しぶりに会う人にご挨拶して。

 「関学聴くために早く来たんだよね〜」と言うと
対面する人はいぶかしげに
 「・・・今演奏してますよ、関学」

 そのときロビーに流れる音楽はまぎれもなく
関学自由曲の「Magic Songs」。

 「・・・・・・・・・・」



 時間まちがえたあああああ!!

 ガックリ落ち込みましたよ、ええ。

 でもその後の審査結果待ちの時間、
嬉しい出来事があったんです。
 客席で大学合唱団がそれぞれの持ち歌を歌う中。

 「団員起立!」…と凛とした号令で一斉に立ち上がる男性たち。
 そして歌いはじめる、と。
 この声は・・・少し変化したかもしれないけど・・・関学グリーだ!
 さらにこの曲は関学グリーの部歌でもあり、長年秘曲にしていた
 「U boj(ウボイ)」じゃないか!!

 「グリー的」なる演奏を今は好んでいない私ですが、
この時ばかりは胸が熱くなりました。

 一時期は100人以上団員がいた名門:関学グリーが
現在人数が減っても確かな実力を証明してくれた事は
素直に、嬉しかったです。

 関学グリーと同じように人数が減少傾向の
大学男声合唱団は多いようですが、
例えば関学グリーのようにコンクールをきっかけとして
その実力を示してくれれば嬉しいな、とも思った時間でした。

 「来年全国出たら今度こそ聴くよ! 関学グリー!!」



 ●勝手にプロフィール大賞

 今年も性懲りもなく行います!

 まず遠距離団員さん(練習の往復で地球3周半!)の
他団員さんへの感謝の言葉があたたかい島根県の
 「ゾリステン アンサンブル」
 団員名列挙、3行目突入おめでとうございます〜。


 宮城県から初出場の団体、
 「合唱団 Épice(エピス)」

 (前略)「Épice」とはフランス語で「香辛料」という意味。
この名前には団員各々の持ち味を活かし、
深みのある、そして時にはピリッと辛みの効いた演奏を
作っていきたいという願いが込められています。(後略)

 …なるほど〜。なかなかシャレた命名に好感です。
 そして次は・・・。


 今この文章を書いている横では、芋焼酎片手に
飲んだくれている団員がくだらない話で盛りあがっています。
時刻はAM3:30…!合宿中なのですが、団長に
「今日中に原稿お願いね!」と言われて
しぶしぶ書いているのです。(後略)

 さすが九州の合唱団、「MODOKI」
 演奏も熱いですが、練習後の飲み会も熱いんですねェ。
 ・・・しかし書き手の指揮者さま、ご苦労様です・・・。

 それでは、大賞の発表です!
 実はこの書き手、以前から面識がある方なんですが、
どうやら外見が私と大変よく似ているらしい。
 会場では「代表者会議に出てなかった?」と言われるし
 (…オレがどこの代表だと言うのだ〜!)
 その人が所属する団体の団員さんからは
 「あれっ、先に帰ったんじゃなかったの?
  わ、文吾さん! ごめんなさい間違えました〜」

 極めつけは結果発表でステージに上がったその人に、
 「ちょっと文吾! あそこに文吾がいるよっ!!」…と
CAのみんな大ウケ。・・・そこまで似てるかあ?

 書き手団体の他団員さんに
 「今年のプロフィール大賞…」と話すと

 「難しい言葉ばっかり使って団内では不評なんです。
  調子に乗るからプロフィール大賞なんて
  授賞しないでくださいっ!」

 などと、ヒドイことを言われちゃいました。
 確かに一見難解な文章ですが、
目指す理想と現実の演奏、
その両方しっかり文章にあるのが今回の大賞理由です。
 (昨年の「両極に論じられることの多い『技術的な練磨』と
 『音楽的な訴えかけ』は、本来分化や偏りを許さないと信じる」
 …という言葉は今年の演奏にも感じましたし!)

 なにより「生き別れの兄弟?!」とまで言われちゃ
差し上げないわけにはイケマセン。
 そういうわけで今年の「勝手にプロフィール大賞」は

 クール・シェンヌ、若和尚氏に決定!

 ・・・しかし、そんなに似てるかなあ〜?



 一般A-12 クール シェンヌ(奈良県)

 メンバーの増加や個々の成長が相まった音の重厚さに、安心感と不
安を同時に覚え、その団員を選抜して7月の宝塚コンクールや声楽ア
ンサンブルフェスティバル等への挑戦も続けて演奏スタイルを探る側
面を大切にしてきたこの1年でもある。
 全国大会に目標を据えて6回目となる今、いつか取り組んでみたい
と温めてきたシェーンベルクへの万感の想いと、「とむらい」のテーマ
は、正しく“祈り”に通じる。そんな心境で噛みしめるマイヤーや木島
の詩は、単なる過去への反省や普遍的な人間性への洞察に留まらず、
もっと切迫した、実存する私たち自身のあり方を問いかけているよう
に思えてならない。



 そしてクール・シェンヌHPから
「主宰者・指揮者」の項をクリックして下の
指揮者のためいきでの
「熊本」と題された上西先生による一連の文章をお読みください。

 理想、あこがれ、そして
「続ける」ということの大切さを思わせる
感動的な文章だと思います。



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