演奏会感想の部屋

 

   
 合唱団MIWO&合唱団ある 
  ジョイントコンサート2007

   「ある、MIWOな1日」


 2007年2月11日(日) 16:00開演

 昼ごろ広島に着き、広島風お好み焼きを食べ
美味しいアップルパイと美味しいアールグレイを
オサレなカフェにて食べた後、(すべてオトコ2人だけで!)
会場のセシリアホールへ向かう。

 エリザベト音楽大学敷地内にあるホールで座席数802。
 「大学の設備」ということからか、
外からの音が客席で聴こえてしまったり。
 (舞台袖らしきものも無いそうだ)
 しかしステージ中央に輝くパイプオルガンが立派!

 ある、MIWO、両団を指揮している大谷研二先生の繋がりからか。
 MIWO側から2005年に、あるへ声をかけ、
このジョイントコンサートが実現したとのこと。

 客席には6、7割の観客数。

 5ステージ構成。

 最初のステージは合唱団あるの単独ステージ。

 「Missa Brevisより」 G.P.da.Palestrina


 女声42名、男声19名。
 指揮は福原泰弘先生。

 「ある」の特徴である明るく爽やかな声。
 声と同じようにそのフレーズものびやか。
 ソプラノの優しさが特に伝わる。

 このセシリアホールがとても響くホールということもあるのだけど
素直な、それでいて上質な「ある」の響きで
会場が満たされるのは本当に気持ちが良い。

 ただ男声はグレゴリオ聖歌そのものに慣れていないのだろうか。
 女声とのバランス、フレーズの起点とその広がり。
 ちょっとしたことなのだけどどうも反応が鈍く、
ソプラノ主体の演奏となってしまい、
ポリフォニーには残念ながら聴こえない。

 しかし全体の流れとしてはブロックごとに音楽を止めず、
前からのエネルギーがそのまま次へ移っていくように
大変心地良かったし、
例えば「Kyrie eleison」などのロングトーンが
輝かしく、ホールいっぱいに響くのはうっとりするほどだった。



 第2ステージ MIWO単独ステージ

 「Jauchzet den Herrn,alle Welt」 J.S.Bach
 (全地よ、主に向かって喜びの叫びをあげよ)

 女声21名 男声17名。
 指揮は岩本達明先生。

 2重合唱になって。
 ああっ、この速いテンポ、細やかなリズムでも
乱れること無いのはさすが “MIWO”!
 こんな生き生きとしたリズム感を出すには
歌い手はその細かいリズムを
さらに細分化して意識しなければならないわけで・・・。

 そして女声も純なソプラノ、
ふくよかでなめらかなアルト、ともちろん良いが
男声、特にテナーの素晴らしさ。

 「ある」は全国金賞団体の名に恥じぬ
充分な実力を持っている団体とは思うが
こうして続けてMIWOを聴いてしまうと

 「やっぱりMIWOは巧いなあ・・・」

 と改めて感心してしまう。

 2つの合唱の間で
呼応し、時には引き、そして寄せ合うような音楽。
 テンポアップし、さらに華やかになっても崩れない音楽。

 各パートのバランスが優れているため、
加えてそれぞれが充分に音楽を主張しているため、
私が「テノールをもう少し聴きたい!」と思うと
それに応えたようにテノールが耳へ飛び込んでくる不思議。

 残念だったのは初めてのホールゆえか、
いつもの自在なMIWOの演奏と比べると
「合わせよう!」という意識が前に出過ぎていて、
観客をその音楽に引き込むまで至らないような。

 後で団員さんに聞くと、
このセシリアホール、会場は大変響くが
ステージ上ではお互いの声が聞こえ辛く
それゆえ上記のような印象になったのでは・・・と。
 第2部の、流麗なフレーズのコラールまで
そういったややチグハグな印象が残った。

 しかし第3部からいつものMIWO!
 Amen Chorusは
ひとつの「Amen」がこだまのようにステージ上を響き渡り、
それが見事な音楽となる。
 精緻なメリスマはそれ自体感情を含んでうねり、
徐々にテンションが上がり、最高潮のもと


 「Amen!」


 歌い切った!!




 ここで合同ステージの前に
福原先生、大谷先生のトークステージ。

 合同曲のリドホルム「・・・a riveder stelle」は
大谷先生がスウェーデン留学時代に大変気に入り、
思い入れがある曲だそう。
 「音がカッコイイよね!」と大谷先生。

 さて、約100人が並ぶ「ある」「MIWO」の合同ステージ。
 このステージの感想の前に書いておくが、
どうも私は「合同合唱」や「公募合唱団」の演奏から
何かを感じる、ということが苦手なようだ。
 「ああ、こういう曲なんだね」ということを思うだけで、
その演奏によって心が動く、ということがほとんど無い。

 「ひとつの合唱団」として活動していくうちに
創り上げられる固有のサウンド、固有の表現方法にこそ、
伝わり、心動かすものが私の場合あるようだ。

 そんなわけで今まで聴いてきた「合同ステージ」は
人数が増えたことによる見た目の迫力、音量の増大、
オマツリ的な雰囲気以外に
あまり聴くべきところは無い場合がほとんどだった。
 練習回数、練習時間も少ないだろうしね。

 だからこのジョイントコンサートでも
滅多に無い「最終ステージがMIWO単独」という構成に
ニヤリ、としたのだったが。


 第3ステージ 合同ステージ
 リドホルム「・・・a riveder stelle」

 (星々を再び仰ぎ見ようと・・・)
 〜ダンテ 神曲より〜

 ・・・で。この合同ステージはどうだったかというと・・・。




 (その2へ続きます)




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