演奏会感想の部屋

 



 

第56回全日本合唱コンクール 全国大会高等学校の部

「第56回全国合唱コンクール高校A その1」
2003年11月1日(土)

宮崎県立妻高等学校女声合唱団
島根県立出雲高等学校コーラス部
安田学園安田女子高等学校音楽部
熊本市立必由館高等学校合唱団

勝手に座談会 


 <座談会の前に>

 第56回全日本合唱コンクール全国大会高等学校部門、は
北九州・小倉の九州厚生年金会館ウェルシティ小倉
グランド・ホールにて2003年 11/1の土曜日に行われました。

 私、文吾にも初めての九州上陸で。
 思ったよりもずっと都会的な街並みに驚き、
その街を歩くアカ抜けた女性達に目を奪われた(笑)
小倉の一日でした。

 演奏を聴き、審査結果を聞いた座談会出席者一同は
ウェルシティ小倉からタクシーに分乗し
MODOKI団員:清水さんが設けて下さった
小倉駅近くの某所へ移動しました・・・。


 さて、毎回同じことを書くようですが、
この座談会で発言された内容が絶対に正しい!…と
座談会参加者が思っているわけではありません。

 表現にはできるだけ配慮したつもりですが、
そうは言っても、参加された方にとっては
ここに書かれている批判的な発言に
不快な思いを抱く方もいることでしょう。

 不快な感情を引き起こしてしまったことにはお詫びしますが。
 ただ、自分と価値観が「違う」…ということだけで
否定しないで欲しいのです。
 否定せずにその、新しい価値観を知ろうと思うこと。
 そして知ることによって自分の価値観をより強固にすること。

  「違う」価値観に出会うことは、
自分自身を深めるチャンスだと私は思っています。 


 この全国大会後にネット上で
審査結果に納得が行かない人の
激しい論調の書き込みを見ることがありました。

 もちろん私たちも自分の予想したものと結果が違い、
「なぜ?」と思うことはあります。

 ただ私たちは、それぞれの審査員がつけた
それぞれの順位を知ろうと思います。
 「ハーモニー」誌:座談会の審査員講評を読もうと思います。

 それは、なぜその順位に至ったか、
その筋道を知り、納得したいからだと思います。

 順位だけを見て
 「絶対これはヘンだ!間違っている!!」…と主張するのは
どういう方程式を使ったのか
知らないまま知ろうともしないまま解を見て
「間違っている!」と叫ぶのに等しい行為ではないでしょうか?


 この座談会でも相反する様々な意見が出てきます。
 できれば、その違いを「面白い」と感じ、
さらにそれぞれの参加者の「結果を出す筋道」について
思いを至らせてくれれば幸いです。

 (そういう意味で昨年、某高校合唱部HPにおいて
  この座談会での自分の高校の箇所だけをコピーして
  掲示板に載せてあったことがありましたが、
  できれば「筋道を知るためにも」その団体だけのコピーではなく、
  この「文豪の部屋」HPのURLを記すに留めることをお願いします)


 もちろん、批判的な発言があったとしても
あの会場で歌われた方たちの熱意と努力を否定する者は
座談会参加者には一人としていなかったはずです。

 高校生という、心も体も大きく発達する重要な時期に
自らのすべてを注ぎ込む経験をしたことは、
今は確かなものに思えなくとも
きっとこれからの人生において確固とした
かけがえのないものになることを私は断言します。


 できうることなら、
そのかけがえのないものを
うたを続けることによって確かめていくことを願って。




 <座談会出席者紹介>


 あ〜るくん  :札幌の合唱団、弥生奏幻舎“R”指揮者。
           某旅行ツアーを利用して札幌から小倉に!
           東北大会を聴けなかった無念をここで晴らす?

 あべけんくん :東京の某私立大学の学生さん。
           あべ犬東(あべいぬひがし)のぺーじ。

 きよさわくん :愛媛大学大学院生。
            愛媛大学合唱団の団員でもあるが、
            いよいよ就職で他の地へ。
            どうなるんでしょう、合唱生活。

 清水さん   :佐賀県の合唱団MODOKI団員。
            前日の飲み会、
            そしてこの座談会のセッティングをしてくださった
            “とてもイイひと”。  
           ・・・感謝してます!

 競り人さん   :合唱団MODOKI指揮者
            高松からわざわざ来て頂きました。
            Bグループから聴いてくださっています。
            この参加者の中では唯一の審査員経験者。

 ながいけさん :同じく合唱団MODOKI練習指揮者
           初対面でしたが、その合唱への熱意は
           周囲を自然と話に引き込むほど!

 文吾       :この座談会の司会役。
            座談会出席者で現在唯一歌ってないヤツ。
            しかも家ではほとんど合唱を聴かないらしい。
            ・・・参加資格、あるの?

 まぐろ。氏   :弥生奏幻舎“R”代表。
            合唱“以外”のレビューが鋭くもあたたかい
           「鮪の部屋」をどうぞ。
            「ひとりごと」も楽しいです。

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 文吾     それでは出演順に感想を言ってみようか。
         最初は宮崎県立妻高等学校女声合唱団です。
        (銀賞・女声24人・課題曲F1
         自由曲:西村朗作曲
         無伴奏女声合唱のための村山槐多の詩による
         「青色廃園」から「君に」)


 あ〜る   良かったけど、どうしても朝イチの厳しさはありましたね。 

 文吾     朝の10時は確かに厳しい!
          音楽は良かったのにね。表情も全体に細やかで。

 あ〜る   そうですね、音楽はすばらしかった。
         非常に軽やかな課題曲で。
         (バード作曲:Adoma thalamum tuun)
         でも、終止のピッチが決まると良かったかな。

 ながいけ  う〜ん、こんなに和音が崩れることは
                 滅多にない団体なんですけど・・・
          本当に朝という時間帯が影響していますね。

 文吾     自由曲は激しい表現でも美しさを失っていなかった。
         とても好感を持ちました。


          島根県立出雲高等学校コーラス部です。
        (銅賞・混声32人・課題曲G1
         自由曲:ジョン・ラター作曲
         「Five Childhood Lyrics」から
         「Monday's Child」
         「The Owl and the Pussy-Cat」「Windy Nights」)


 あ〜る   スゴイ好きです! ムッチャ良かった!!

 きよさわ  あの柔らかい感じが…。

 あ〜る   そうそう!

         男の子が6人でね。
         でも彼らはハーモニーをよく分かっている!

 文吾     そうだね、少人数でも怒鳴らず
         女声と響きを合わした歌い方がとても良かった。

 まぐろ。  単純に、オトコ少ないってだけで非常に共感しましたね!

 一同    (笑) (註:まぐろ。氏は“R”でひとりテナーをやっている)

 あ〜る   ここはテノール2人いたけどね(苦笑)。

 あべけん  友達がここの3年生で、聴きに来てたんですよ。

 文吾     ほう。

 あべけん  1・2年生しか歌っていないようでしたが、
         よくがんばっていたと思います。

 文吾     え?! 3年生いないの??!!

 あべけん  はい。地域一番の進学校なので、
         受験のため、というのが大きいようですよ。

 あ〜る   それであの演奏はかなりイイね。
         アルトも主旋律をちゃんと歌えていたし。

 文吾     深さもあった良いアルトだったね。
         ・・・全体的に音程が問題、かな。
         自由曲、音楽の移り変わりは魅力的だったけど。

 ながいけ  せっかくラターを演奏するんだったら、
         もうちょっとクダけていた方が…。マジメすぎたような。

 あ〜る   ああ、それはそうかもしれませんね。
         でも、非常に好感が持てる演奏でした。


 文吾      安田学園安田女子高等学校音楽部です。
        (銅賞・女声17人・F1
         自由曲:ラヨシュ・バールドシュ作曲
         「Magos a rutafa」)


 あ〜る   ここはね・・・。

 文吾     うん。

 あ〜る   先生が若かったですよ!

 文吾     あ〜指揮者の小松祐子先生がね。なるほど〜。
         って、なんの話をしてるんだ(笑)。
         …相変わらず、いろんな意味で指揮者をよく見てるねえ。
        
 あ〜る   (笑)。ちょっとピート感がね、あまり良くないんですよ。
         「Hopp ide Hoppy…」の所とか、
         一生懸命なんだけど、“跳ねて”いない。
         ポルタメントの解釈も違うのでは。

 文吾     まあ、全体的にやや大味だったかもしれないね。
         17人にしては、発声もがんばっていたと思うけど。

 ながいけ  そうですね。
         あの人数でこの曲をよく歌っていると思います。

 
 文吾     熊本市立必由館高等学校合唱団です。
        (銀賞・同声26人・F2
         自由曲:西村朗作曲
         無伴奏女声合唱のための「炎の挽歌」から
         「妻への挽歌」)

        男の子が2人、アルトに入っていましたね。
        …音取りに全員音叉を使って、しかも音程が…。

 清水    あれはね〜(苦笑)。
        やっぱり確実な音程感覚を持っている人がひとり、
        その3度下とかのハーモニーを声で出してあげた方が
        みんな音を取りやすいんじゃないでしょうか。

 あ〜る   課題曲の音楽はなかなか好きでしたね。
                  (ブスト作曲:Alma Redemptoris Mater)
        一番、自由な感じがして。

 文吾    ああ、課題曲もそうだけど
        自由曲も表現が前に出ていた気がするね。

 ながいけ  そうですね。
         指揮の岩津整明先生は九州では有名な方で。
         “歌わせる”表現の指導がメチャクチャ上手な先生です。
         一般女声「合唱団 Le Grazie」の指揮者でもあります。


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