演奏会感想の部屋

 

 
   淀川混声合唱団第18回演奏会ああ

   2006年8月12日(土)  開演18:00 


 ・・・に行ってきましたよ。場所はいずみホール。
 やっぱり座席が自分の自由に決められないのが不快。
 今回の座席交換では、
ステージからの位置はなかなか良いものの
絶対自分では座らない滅茶苦茶ソプラノ側なので「…あ〜あ」と。
 もっと前側でも良いからベース寄りの席がオレは落ち着くんだよ!

 さて、よどこん感想の前に、このところ私、
50人ほどを越える団員数の合唱演奏に、
「贅沢な音」と言うよりは「贅肉な音」というか、
「なんとなく周りと合わせている」
ような音を強く感じてきて不快だったり。

 そりゃ人数がいないと
歌い切れない作品があるのは分かるけれども、
いくら音楽的に破綻していなくても、
腑抜けた、ダレた音で表現が薄まるようだったら
「30人ぐらいに人数減らしたら?!」…などと勝手に思ってしまう。

 しかし、50人以上の団体で、統制が取れていて、
かつダレた音が聞こえなくても、
なんつーかその演奏が
「指揮者の歌の口移し」…みたいに思える演奏もあって。
 そういう演奏もこの所気持ちワルクなってきてしまった。難儀です。
 学生合唱団だけでいいよね? そういう演奏って。

 指揮者は音楽の外枠を示し、
内容を満たすのは団員個人個人の自発的な歌。
 表現としては「ひとつの合唱」として聞こえるけれども、
その内容自体には「個人」が息づいている・・・。
 そんな演奏を
いつも聞きたいなあ、感じたいなあ、と思っているのだけど
50人、という人数を越えるとそれはかなり難しいようだ。
 2005年、栗山先生が指揮する「合唱団 響」の演奏する
マルタンのミサなどにはそんな求めるものが感じられたのだが。



 長々と前置きを書いた後で、淀川混声合唱団、
通称:よどこんの演奏会感想。
 コンクールでは聴いたことがあるが、
演奏会という形式では初めて。

 女声33人、男声24人ほど?

 第1ステージはトルミス「Jaanilaul」
 (「聖ヨハネの日の歌:夏至の歌」)
 全7曲ある「JAANILAULUD」の最終曲。
 エストニア南部の民謡が素材となっており、
ひとつの旋律の変奏、ということ。

 よどこんは若い方からやや年配の方までの幅広い年代層。
 そして60人近い人数なのに、
パートごと純度の高い、明るい素直な声。
 表現もその和音の重ね方にセンスを感じる。

 1フレーズの変奏、その展開という
指揮者:伊東さんの「やりたいこと」、外枠は分かるのだが
内容を満たすはずの団員さんがあまり曲を理解していないような?

 テンションが上がる曲想でも、音色、声の変化は特に無し。
 音楽の切り込みに緊張感は加えられず、
男声ごとの和音、女声との和音の対比や変化も
漫然と進むだけで、最初に書いた「贅肉な音」を強く感じてしまう。

 歌い手は「歌い手の耳」、だけではなく、
「指揮者の耳」そしてさらにそれらを聴く「観客の耳」を持って
個人の歌に還元できるといいよなあ、
でもそれって大人数では難しいことなのかなあ、と思っていたら
アッサリ終わってしまった。1ステージとしては割合短い曲でした。



 第2ステージは松下耕先生の
 「静かな雨の夜に」の混声版全5曲。
 ピアノは細見真理子さん。

 女声では最終曲が全日本の課題曲になったり有名な曲だが
混声版を聴くのは初めて。

 最初の「夢」から曲のイメージあふれる素晴らしい出だし。
 この組曲の演奏では冒頭の表現がどの曲もどの曲も良い。

 そして混声版ということで期待と同時に不安も感じていたが、
違和感どころか「混声ならでは」の和音のふくらみ、世界が
とても魅力的に聴こえる演奏。

 演奏も前ステージよりは、表現が前に出てきたような。
 ただ、単語として断片的な発語は良くても、
フレーズの中ではそれぞれの言葉の立たせ方がかなり曖昧。
 (特にテナーにそれが顕著だったような?)

 さらに狙おうとしている表現はそこに存在しているが、
それは指揮者の伊東さんが団員の手を引いて連れて来たのであって、
自分の足でその表現の地点まで向かっていないような。
 目的とする音はそこに鳴っているが、
なぜその音を鳴らしているか、という個々人の主張、突っ込みが
あまり感じられないため聴いていて少々空しさを感じてしまう。

 あとは純粋な声、
透明で色彩感豊かな和音は確かに良いのだけど、
曲ごとの違い、個性(特に、激しい、緊張感を要求する曲)が
あまり感じられなかったのは残念。

 ・・・などと書きましたが、
 「しずあめ混声版、なかなかいいじゃん!」と
素直に思わせる演奏でした。
 それぞれの声部の持つ特性、響きをどう活かす演奏をするか。
 他声部への編曲の演奏で大事なことを教えられた、
そういう部分でとても良く練られた演奏だったと思います。



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