演奏会感想の部屋

 

 

  ここで指揮者:大谷研二先生と
岩本達明先生が出、演奏の苦労話をした後に、
新実徳英先生を迎え、3人のトーク・ステージ。

 新実先生:
 「男が3人並んでいると異常だよねー」
 …と笑わせながら

 「本当にMIWOは凄い水準。
  このレヴェルなら、
  これから毎年私の曲をやって欲しい。
  大満足!」

 そして曲想、音楽の変化について語り、
「白いうた 青いうた」のような路線と、
「をとこ・をんな」のような路線の2つがあることに言及し

 「両極端で、真ん中(の路線)はしない」・・・と。

 大谷先生が
 「新実先生は、
  メロディーの書ける現代作曲家という存在が素晴らしい」
 という言葉に

 「ありがとうございます。
  いつか(メロディーは)尽きると思うのですが」

 そしてその「メロディー」が前面に出ている「白いうた 青いうた」は

 「100曲作ろう、
  いや108の煩悩の数だけ作って
  成仏しよう」と思っていた、と笑わせる。

 (※例によって私の拙いメモですので
  実際の会話と内容に隔たりがあるかもしれません)

 西村朗先生、鈴木輝昭先生の時も感じましたが
新実徳英先生もトークが軽妙で楽しいものでした。


 さて、その108曲(?)作る予定だった「白いうた 青いうた」。
 無伴奏混声合唱のための
 「北極星の子守歌」、全8曲。

 この時点で「…トイレ行かせてくれー!」と
体が叫んでいたのだが、
演奏が始まるとそんなことを忘れてしまうほど!

 岩本達明先生の指揮で最初の「海」
ヴォカリーズから涙腺にじわっ、と。
 さんざん聴いた、そして歌ったこともある曲なのに
なぜこんなにも感じてしまうのか。

 MIWOの団員さんは
難曲ぞろいの今日の演奏会の中で
 「ある意味、この曲集が一番難しい…」と語ってくれた。
 なにが正しく、なにが間違っているか、すぐ分かってしまうから、と。

 「正しい」ということがとてもよく分かる演奏。
 もちろん完璧と言い切るには足りない部分があるのだが、
その和音の狙い、出している音が例えば根音、第3音なのか、と
演奏する側が深く理解し、そして音にしている。

 そして今まで私は
 「しろあおは2部合唱に限るのでは?」と思っていたが、
MIWOの演奏を聴くと、それは結局他の合唱団が
 「何が主旋律か、何がバックミュージックか」ということを
ちゃんと理解していなかったのだ、ということが分かってしまう。

 旋律を他パートが繋いだときも、
ただ続けるのではなく、
その余韻、そして減衰や音色がちゃんと考えられている。

 加えて発語。
 明瞭に聞こえる、というだけではなく
フレーズの中でどの言葉を強くするか弱くするか。
 子音の立て方、微妙な間。

 今日の演奏会、もちろん感動的な演奏は他にもあったが、
録音を再生してその良さが一番分かるのはおそらくこの
「北極星の子守歌」では無いだろうか。


 感動的な演奏というものを語るときに、
私も含めて多くの人は「演奏者の想い」…というものを後に繋げる。
 並々ならぬ想いがあったからこそ、
あの演奏は感動的だったのだ・・・と。

 しかし今日の「北極星の子守歌」の演奏、
もちろんMIWOに想いが無いという事では無いが
(指揮の岩本先生は「北のみなしご」で
 入り込んで落涙するほどだった、らしい)
それ以前に、音の、言葉の、
何が聴く者の心理に影響し、感じさせるのか、
その分析能力の違い、というものも感じてしまった。

 そして結局、コンクールでよくあるような
巧いのに「感じさせない」演奏というものは
いわゆる「想い」以前に、指揮者も歌い手も、
「感情・感動」その分析能力と、
それを演奏へフィードバックする能力が
著しく低いためではないのか、とMIWOの演奏を聴いて思った。


 谷川雁氏「白いうた 青いうた」最後の作品である
「われもこう」では明るい曲調の中に
かすかな切なさを感じさせ。

 「自転車でにげる」
前半の軽やかさと音楽の変化にうきうきと。
 山段の前後でのハイタッチが◎!

 終曲「北極星の子守歌」の冒頭のヴォカリーズで
ここまで涙腺に感じさせる演奏があっただろうか。


 新実先生の「メロディー」に初めて浸るような
心地良い気分になりながら。
 「平成の唱歌を目指す」
 「3世代で共有できる音楽を」と願い作られたこの
「白いうた 青いうた」は。

 いま、この場では、
確かにその願いが叶えられているのでは、と
私の近くの席で歌詞カードをいっしょに覗き込む、
おそらく祖父とお孫さんの
仲の良い姿を見ながら思ったのだった。



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