演奏会感想の部屋

 


 CANTUS ANIMAE第9回演奏会


 2006年5月27日 19:00〜 川口リリア



 霧雨の降る川口。
 会場へ向かいながら、
前にCANTUS ANIMAEの演奏会へ行ったのは
いつだったかを思い出そうとする。

 …前回、は急に行けなくなったし。
 その前もさらにその前も行けなかった。
 コンクールでは何回も聴いてるんだけどなあ。
 そういや4年前に入団して約2ヵ月後の演奏会に
 「出て!」と言われて冗談だと思ったら本当の本気で。
 その後もう一回演奏会に出てソロで音外してそれから・・・。




 「聴いたこと無いじゃん! 演奏会!!


 そんなわけで聴衆として
初のCANTUS ANIMAE演奏会となったこの日。
 川口リリアには300人ほどの客数。
 
 女声14人、男声10人の団員、
そして指揮者の雨森文也先生が拍手で迎えられ。
 ・・・雨森先生は(いつものように?)合唱の中へ入る。

 今日の演奏会は3部構成。
 第1部は「ルネサンス・バロックの名曲と不滅のバッハ」

 最初の曲はパレストリーナ「第1旋法のマニフィカト」
 2重合唱の曲である。

 最初の音で「うわっ」と声に呑まれ。
 会場、中ほどの席を取ったのだが
24人の声とは思えないほどの声が迫ってくる。
 深みのある、とか、ことさら鳴っている、という声ではないのだけど
ステージの奥にさらに空間があり、そこに反響し、響いてくるような。

 そう思わせるのは声の質だけではなく、
やはりCANTUS ANIMAEの楽曲への姿勢というものも
大きく関係しているのだろう。

 その姿勢とは言うならば
 「歌うすべての曲を自分たちの歌にする」
 …という強い意志だ。
 だからCANTUS ANIMAE、
略すとCA(シーエー)の演奏を聴き続けていると
いわゆる「熱演」という言葉に対し疑問が湧いてくる。

 「ダイナミクスを一段階上げればそれが熱演だろうか?」

 「客観性を無くし自分の世界に没頭すればそれが熱演だろうか?」

 そんな段階を越え、
情動も、理性も、自分の存在すべてを歌に投げかけ
歌そのものになろうとする。
 「熱演」の定義というものを改めて考えさせてしまう。


 ただ、2005年、全日本合唱コンクール一般Aの部で
第1位金賞・文部科学大臣奨励賞を受賞した団体として、
今日の演奏を聴くと

 「・・・ん〜?」と首を傾けてしまう人も多いだろう。

 パレストリーナは2重合唱。
 しかし2群の合唱団同士の音量バランスや、
声の純度、決めのハーモニーへの精度、
細やかなリズムの掛け合いや、主旋律の浮き上がり・・・。
 大した耳を持っていない私でも

 「んん〜〜〜???」と思ってしまうほどだから
厳しい方、減点法で音楽を聴くような方々には
ちょっと困ってしまう合唱団かもしれない。

 ロッティ「十字架にかけられ」は消化不良気味だったし、
続いてのバッハ「来たれイエスよ、来たれ」
冒頭に何度も歌われる「Komm!」の響きこそ
深みがあり素晴らしかったが
その後はやや早めのテンポに流され、
精妙なバッハのリズムが活かされない。
 バッハのコラールを現代風にアレンジした
ニーステッド「不滅のバッハ」
かなり遅いテンポを集中し、持続し、
異様なほどの緊張感を表していたが
明らかに落ちているパートも散見した。



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