演奏会感想の部屋

 

 
    全国大会あれこれ:新潟編



 ●りゅーとぴあって・・・

 新潟での全国大会のホール、「りゅーとぴあ」
 アリーナ形式のこのホール、音響も素晴らしく実に良い。
 …が! かなーり個性的な造りのホールでもあり、
休憩時間に中座し、同じ階の違う入り口から入ると柵に阻まれ
 「もっ、戻れない〜!!」
 鳴り響く予鈴を聴きながら冷や汗かいて通路をひた走るハメに。

 そして会場もなかなか個性的。
 青色のトンネルのような通路があったり、
まるでテーマ・パピリオンのよう。あまりの個性に
 「この長いスロープ、上ってると思うけど、
  実は下がってんじゃないの?」(いや、上ってます)
 「壁にある、あのでっかいガラス。
  あれになんか映るんでしょ?」(いや、映らないです)
 「痩せて見えたり、太って見えたりする鏡はどこ?」
 (無いから! …でもいかにもありそうな)
 「屋上に公園があるそうだよ」
 (ねぇよッ! ・・・と思ったらホントにあるそうです。

 実に面白いこのホール。新潟行く時は是非お立ち寄りください。
 というか私も空中庭園、体験したかったぞ。
 しかし、帰りの飛行機に急ぐため出口を探してたら
いつのまにか楽屋へ入っちゃってたのには困ったな。



 ●新潟の食と酒

 全国地ビールのさきがけ、「エチゴビール」は
香りも華やか、上品な甘みとコクがあり、
飲み終えた後の残り香に「…う〜ん!」

 CA打ち上げに出た「越後もち豚」の鍋がまた美味しかった!
 脂にクセがなく、しかし旨みあふれるものでついつい食べ過ぎ…。

 日曜の昼は和食とかいいね、と
駅前の市の観光案内所で聞いた店は古町にあり。
 その店は郷土料理にふさわしい囲炉裏端のような内装で
出てくる料理がこれまた美味い!
 「のっぺい」は里芋やにんじんなどが入った
冷たい煮物で、貝柱から出たダシが美味く、そして実にスッキリした旨み。
 「わっぱ飯」はこの店のご主人が考案したそうで、
わっぱ(杉の薄い板を丸めて作った容器)にご飯、
その上に様々な具を乗せたもの。
 「この牡蠣が〜」「イクラと鮭が〜」と叫び、そして全員で

 「なんと言っても “米”!!

 舌に乗せると滑るように喉めがけて飛び込む米!米!
 いやあ、「米どころ新潟」、堪能しました〜。

 タクシーの運転手さんに聞くと新潟は
 「米と魚が美味しいのは当然」という土地だそうで、
 「マズイ店はすぐ潰れちゃうよ!」…ということです。
 フランチャイズの店も流行らないらしく、
そういえば他の都市よりファミレスとかが少ないような・・・。
 他にもいろいろ美味しいものがいっぱいある、意外な食どころ新潟。
 合唱抜きでもまた行ってみたいなあ。



 ●聴衆へ向き合うということ

 2005年、国際的な「世界合唱シンポジウム」が京都で開催され。
 個性豊かな素晴らしい団体の演奏の数々に
感動の声が沸き起こり続けていました。
 (・・・ムチャクチャ残念ながら私は行く事が出来なかったのですが!)

 シンポジウムには行けなかったものの、
多くの合唱関係のHPやブログから、
改めて合唱をいろいろ考えることになりました。
 その中でひとつ思ったことは
 「向こうの団体は聴く側を楽しませるのが上手いんだなあ〜」

 さあ、日本の合唱、このコンクールという場ではどうかな?
 …と思っていたらありました。伊東恵司さん指揮の
京都、一般Aの混声合唱団:アンサンブルVine
大阪、一般Bの男声合唱団:なにわコラリアーズ!

 アンサンブルVineは自由曲になると、
さまざまに並びを変え、動きます。
 その動きがしなやかでなめらかで、
演奏をジャマするどころか曲の魅力をさらに引き立てる。
 
 そして特筆すべきは
ありがちな「羞恥心をかなぐり捨てた」「酔っ払った?」的な
パフォーマンスが多い中、「恥の文化:日本」にふさわしく
動きのどこかに、恥じらいと、つつましさがあったのです!

 ちと恥ずかしげに、それでも優美に動く団員(主に女声…)を
嬉しくニヤケながら観ていると
 「よいではないか よいではないか〜♪」と
腰元の帯を回すバカ殿の気分。
 (それはなにかちがうだろう)

 なにわコラリアーズが演奏した
自由曲2曲目の「偽ヨイク」男声版は
ラップランドのヨイクとは全く無関係で意味の無いテキストだそう。
 声をユニークに変える部分など、これまた音楽を引き立てる、
シンプルだけど、じっつ〜に楽しい動きの数々!
 演奏が終わった後の退場がまた良かった。
 客席を見ながら、大きく手をフリフリはけていく団員たち。うんうん。
 ブラボー!の声がいくつもいくつもかけられていましたねえ。

 さあて、もちろんこれらの動きは
よく考え、練られていたけど、
単純に動きをマネすれば、
こんな楽しい雰囲気にならないような気が。
 動きの、雰囲気の、
その元になっている両団の姿勢はなんでしょう?

 たとえば両合唱団とも、
指揮者の伊東さんをあまり見ない。
 客席であるそれぞれの正面、
演奏を聴いてくれるお客さんを見つめ、
そして歌う。

 2日間、いろんな団体の演奏があったんです。
 会場がまだザワついてる中、
全く構わず演奏を始めちゃう団体。
 歌い手は指揮者『だけ』をじっ、と見つめ
指揮者『だけ』に歌い、
その指揮者は指揮者で独りの世界でいっぱいいっぱい。

 雰囲気も音楽にも「閉じた」印象アリアリで
えーと、そーいう演奏って
「のだめカンタービレ」1巻の162ページみたいなことを言うんでは?

 ひょっとしたらもう2度と聴いてくれることの無い相手に、
せめてこの一瞬だけでも自分たちの音楽を楽しんでもらおう…
そんな雰囲気を出そう、創ろう、とする団体が、私は好きです。

 気が合って、話し上手で、
しかも聴き上手な友人との会話に似てますよね。

 そういう意味では動きは無くても
「合唱団ある」だって
正面を見ていた自由曲は雰囲気出ていたし、
他にもそんな雰囲気を感じさせる姿勢の団体が
いくつもありました。

 Vineやなにコラのような
スマートな動きはなかなか難しいにしても、
その大元になる「楽しんでもらおう」
「音楽を聴くものと分かち合おう」
…という雰囲気は出せるはず。

 そうだなあ〜、とりあえず歌い手サンは次の練習では
まだ見ぬ、これから出会う
「お客さん」へ向かって歌い、指揮者の方は

 「オレ(私)を見るな! オレ(私)に歌うな!」

 ・・・と言ってみるのはどう?、、、か、な??



 ●勝手にプロフィール大賞

 今年も行います「文豪の部屋:勝手にプロフィール大賞」!
 レイザーラモンネタはあるかなあ、と思ったら
やっぱりありました!
 中部大会で「全国フォーッ!」と吠えた
H(ハード)G(ゲイ)ならぬ、H(ハード)G(岐阜大)…だってさ。

 ☆と♪が舞う、実にオンナの子らしいプロフィールは
 「東京家政大学フラウエンコール」。
 最後の「私的ですが団員へ」と宛てたメッセージ
 「私はこのメンバーで全国大会へ来ることができて、
  心の底から幸せです☆」 うん、良かったね☆

 でもやっぱり選ぶとしたら一般の部かな・・・。
 今回の演奏テーマはズバリ「愛」とする、標準語と東北弁と
「愛」の言葉であるイタリア語とのギャップを
コミカルに、しかしマジメに語る「一関市民合唱団」
 完成度高いです。

 「世界合唱シンポジウム」の想い出を語る「クール・シェンヌ」
 共演したコンゴの「ラ・グラース」の本番とリハに触れ

 「両極に論じられることの多い『技術的な練磨』と
 『音楽的な訴えかけ』は、本来分化や偏りを許さないと信じる」

 「文芸シリーズ」とでも銘打ちたいプロフィールは
「イトウ・キネン・シンガーズ」
 今回は武満徹の「音、沈黙と測りあえるほどに」から引かれ。
 それが自由曲、「水底吹笛」の詩人:大岡信氏と繋がり、
作曲者と、作品と、そして演奏へも繋がっていきます。見事!
 (ちなみに文中の「時期を帯びた」は
  もちろん「磁気を帯びた」だそう)

 毎年毎年、ご当地の食べ物ネタを楽しくテンポ良く盛り込む
「会津混声合唱団」
 かる〜く流して読んじゃう人もいると思うけど、
この文章のテンポや擬音の使い方など、
かなりセンスの良い方が、相当練り上げて作ってると思います。
 毎回、感心しながら読んでますし、
完成度の高さから言って
今回はココかなあ・・・と思ったら・・・。


 うーん、正直、文章の完成度は今イチだし、
締めにももう一工夫欲しい。
 それに私が在籍した合唱団だしなあ。
 ・・・でも、文中で書かれている団内結婚での「ご懐妊」が最近。
 演奏は課題曲・自由曲とも私を泣かせたこと。
 その自由曲「みみをすます」楽譜での
作曲家:堀内貴晃先生の序文。(買って読んでね♪

 それらのすべてがこの文章ににじみ出ています。
 そしてこれだけのことを
率直に書ける、という作者の人柄もなかなかスゴイこと。
 
 えーい、もろもろすべて合わせ技の一本!
 今年の「勝手にプロフィール大賞」は
 東京都、一般Aの部へ出場の

 「CANTUS ANIMAE」だあーーー!!!



 一般A−3  CANTUS ANIMAE(東京都)

 CANTUS ANIMAE(以下CA)を紹介します。
 ただいま団内結婚2組。毎週水曜日に同じ感動を味わえば、惹かれ
あう2人が出てくるのも自然の理。私たちは青春以上に青春の中にい
ます。笑い、涙を流し、大声で喧嘩をしながら歌っているのです。初
めてCAを訪れたとき、あまりの青春っぷりに恐れをなして逃げ出して
しまいそうでした。私は社会の中で「冷静なおとな」を装っていたのです。
そうか、おとなは子ども以上に熱く青春なんだ。好きなことに打ち込
める自由の素晴らしさを、胸を焦がす恋を、苦い涙を知っている。
 だから今日も歌います。魂の歌を。





 ●来年は・・・

 上に書いてあるプロフィール大賞団体とは
まったくこれっぽっっっちも関係ありませんが
審査発表の時。

 銅賞、銀賞、金賞団体が発表された後、
各賞、シード団体の発表です。

 「文部科学大臣奨励賞は…  です!」

 歓声と拍手! その後の一瞬の沈黙。
 来年のシードが決まった某合唱団の某女声団員さんの
そんなに大きくはないはずのその言葉が会場に響いてしまいました。



  「馬刺しと焼酎だあ・・・」


 シード獲った最初のヒトコトがソレですか!
 となりの東北福祉大の学生さんが笑ってましたよ!

 えーと、そういうわけで2006年は馬刺しと焼酎…じゃなくって熊本!!
 私もまだ行った事のない土地なので楽しみです。
 ふたたび出会うはずの素晴らしい演奏と、
素晴らしい人との出会いを楽しみに
これからを過ごしたいと思います。


 「それではみなさん、2006年は熊本でお会いしましょう!



               (「全国大会あれこれ:新潟編」  おわり)