演奏会感想の部屋

 

  プロムジカ女声合唱団2002年日本公演


 7/22 19:00プロムジカ演奏開始(賛助合唱団演奏17:30〜)

 所沢市民文化センター『ミューズ』アークホール





 札幌在住時に、図書館でなにげなく、
知らない名前の少年少女合唱団のCDを聴いた。

 ・・・あの時の感動は忘れられない。

 少年少女の合唱という、いや、合唱の枠をも越えて、
なんと響き、力強く、そして音楽性を持った演奏なんだろう!

 そのCDに書かれていた合唱団の名前は「カンテムス少年少女合唱団」。

 ハンガリー、プロムジカ女声合唱団の妹的な合唱団である。


 名古屋に移り、カンテムスの公演があると知り、大阪まで聴きに行き。
 「あぁ〜CDと同じ、いやそれ以上に響くんだ! 声が!!」

 2年前にはプロムジカ女声合唱団の演奏も聴くことができた。
 カンテムスより、さらにさらに磨かれた演奏に、もう陶然となった。
 (中部では2公演あったので、2公演とも当然行くことに。
  時間と金が許せば、
  もっと遠くの場所へ聴きに行っていたかもしれない)


 聴く、というより『体験する』…という印象が適切なプロムジカ。

 しかし、以前聴いてから2年。
 再び私は同じような感動が得られるのだろうか・・・。


 他の公演日はすべて予定が入っているので、
住んでいる横浜からわざわざ埼玉・所沢まで行って来ました。



 所沢市民文化センター『ミューズ』アークホールは
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 国内最大級のパイプオルガンを備え、
 2,000人収容できるシューボックス型の本格的シンフォニーホール
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 …だそうで、
正面に本当に大きなパイプオルガンがある、かなり立派なホール。
 歓迎演奏の関係か、
舞台用のドレスの女性や、お揃いの衣装の子どもたち、
高校生や中学生などが多い。
 それとも “あの” プロムジカを勉強しようとする人が多いのだろうか。
(・・・かなり女性率が高い客層!)

 19時を過ぎると、指揮者のサボー・デーネッシュ氏がステージに立ち、
誰もいない空間に指揮をすると。
 舞台袖から、歌い、入場するプロムジカの団員!待ってました!!

 前半はゴールドのように見えるドレス。
 (光沢があるのは共通しているが、団員それぞれ色が違う)


 あぁ・・・。やっぱり、響きが全っ然、違うんだよなあ・・・。
 フレーズは息の流れに乗せ、スーッと無理なく流している感じなのに、
響きの高さや、空間の中で占める『声の存在感』が段違い。

 2年前もそうだったが、十八番のホルストの「アヴェ・マリア」では
36人の団員を2つに分け、1階と2階でそれぞれ1列ずつ並んで演奏。

 旋律のエコー効果を狙った曲(…すいません。曲名分かりません)では
6人のメンバーがステージと反対側の2階客席に移動し、
ステージ、客席と呼応した音響を作り出したり。

 その他にもソリストの立ち位置、1曲ごとに並びを変える、などなど
相変わらず響きにはこだわっているな、という印象。
(その並びへの移動に、ちゃんとした目的があるのかなぁ?
 ・・・などと若干思うときもあったが)


 それにしても。
 2年前に実演に接し、それ以前と以後もCDで何十回。
 ひょっとしたら3ケタの回数まで聴いているはずなのに。


 ・・・やっぱり感動するんだ!

 さきほどのホルスト「アヴェ・マリア」にしても、
聴いているうちにプロムジカの声に掴まれ、
体ごと空に持って行かれるような。

 コチャールの「リベラ・メ」でも中間部、ホモフォニックに

 
「Dies illa,dies illa, calamitaris et miseriae !」

 とフォルテで歌われると、
 体全体が雷を浴びたようにビリビリ震えてしまう。
 頭の中が蒸発し何も考えられなくなってしまう。
 ノドが詰まり、涙腺が壊れ、自然と視界が滲んできてしまう。


 ホールの響きのせいか、
今回はそんなに圧倒される、というほどではなかったが。
 それでもやはり、聴くよりも『体験する』…という言葉が
プロムジカには似つかわしい。


 音楽の作りは、「やはりニホンジンとは違うなあ〜」と思うけど。
 (我々の“常識”なら、削って丸くするような箇所を
  角をそのままで御提供!…と言うような。
  もちろん、それはそれで素晴らしい音楽が成立しているのだが)

 それでも2年前と比べて、ppの表現や、旋律の繊細さが
増したような印象を受けた。
 
 「これは『音』だけじゃなく、違うものをなにか放射してるのでは」
 ・・・と思うフォルテの響きも素晴らしいが、
今回は弱声での、人声と違った、弦楽のような響きにも心惹かれた。

 後半はいつもの色とりどりのロング・スカートとベスト。
 コダーイやオルバンの演奏が相変わらず良い!


 あと、ここで書いてもしょうがないと思うけど。
1曲ごとに団員さんの日本語による曲名紹介があって。

 それがハッキリ言って・・・「何言ってんだか分かんない!」

 その日によって演奏曲が違うのはしょうがないけど、
終わりに今日の演奏曲目のコピーを渡すとか、
日本人にアナウンスしてもらうとか、どうにかならないかなあ。
 
 それと、わざわざ「演奏曲目」を書いているプログラム(100円)を
購入したんだけど。
 ・・・それに書いていない曲も、いっぱい演奏してるんだよね。

 隣の席の女性に
 「いまの、なんて曲ですか?」と聞かれて

 「あ。ホルストのアヴェ・マリア、ですね」…と答えると

 「え?・・・でもプログラムには書いてませんよ??」

 そんなことが何回かあった!
 後、わたし文吾は、何十回も聴いてる曲は確かにいっぱいあるけど、
 残念ながら曲名はあまり覚えてないんですよね。だから

 ・・・そんな期待に満ちた目でワタシを見ないでくれ〜! 隣の席の人〜!!

 「ランドル・トムソン、って聞こえたような気がしましたけど
  いま歌ったのって、ここに書いてある『アレルヤ』じゃないですねえ?
  なんでしょう??」

 「えー?
  ・ ・ ・ ・ 『ヘブライの子どもたち』、か、なあ・・・」
         (↑ 自信ない)

 ホント、曲名を知るのに命賭けてる人もいるので。
 なんとかして欲しいですねえ。
 
 その女性は「?」で頭を一杯にしながら
プログラムに必死に曲名と順番を書いてましたよ…。
 


 終盤は日本の曲、ということで
 「ほたる」(小倉朗)や「船頭小唄」など。

 あと客席にメンバーが散らばって演奏した
 「さくらさくら」(若松正司)は感涙モノ。
 こういう響きの魅力を観客に体感させることは、
どんどん日本の合唱団もマネして欲しい、と心から思ったし。

 アンコールの「Good by!」の言葉が入る曲では
西○秀樹の「YMCA」よろしく(…古いな)
客席にフリを一緒にさせる楽しさ!

 歓迎演奏をした団体との合同演奏の後、
歌いながら客席の間を退場する際、もらった花束を1本ずつ分けて
その花を、お客に手渡す!とか。
(花をもらった女子高生とかきゃーきゃー言ってた 笑)

 なかなか演出面でも楽しませてもらいました〜。


 やはり「ニホンジンとは違うな」・・・と思わせる音楽の作り。
 並び方や立ち位置のこだわり。
 演出の(上品なフェミニンさも感じさせる)楽しさ。

 そしてなんと言っても、理屈ではない(何度でも言ってしまうぞ)
 「聴く」…と言うより『体験する』、との言葉が適切な発声、音楽!

 次に聴く機会があれば、ぜひぜひ行ってみてください。

 あー。私もランドル・トムソンの「アレルヤ」とか
 コチャールの「ああ、雪の森の静寂」が今回は聴けなかったので
また聴きたいんだよなー!!


 
次回の来日が本当に楽しみです!!!





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