演奏会感想の部屋

 

     <全国大会高校の部あれこれ>


 2003年の全国大会座談会:高校の部は全6回で終了ですが、
こぼれ話というか私、文吾が会場で見聞きし思った「あれこれ」をいくつか。

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 ●「…あげます」「い、いらない」

 共学化が進み、女子だけだった合唱部にも男子生徒が。
 伝統ある「宮崎女子高校」も「宮崎学園」に。

 そしてその54名の団員の中へ、男子生徒がひとりアルトに!
 や、それはとても喜ばしいことなんですが。
 宮崎学園が演奏した課題曲がF4の「あげます」という曲。
 これは “ファースト・キスを” 「あげます」という少女の恋心を歌った内容で…。

 ソプラノ、メゾだけを見ていればいいのだけど。
 ついつい、そのアルト男子生徒が歌う姿に注目してしまい。
 さらに妙な想像に至ってしまい、落ち着かない気分になる文吾でした。
 なかなかの美少年だったんだけどね。あ、それでもマズイのか。


 ・・・演奏は、とてもとても素晴らしかったです(笑)。


 ●「先生の評価は…」

 毎年のように吉村理事長のご挨拶や審査員の講評で言われていますが
 「卒業しても合唱を続けてください」…ということ。

 高校B演奏終了後の全体講評には指揮者の大谷研二先生が。
 「このごろは合唱がツマラナイ。
  なぜツマラナイかというと、
  オーケストラと違って音色が変えられないから。
  そういった、音色を変えられる合唱団が上位になった気がします」
  とのご発言の後。

 「とても素晴らしい演奏ばかりでしたが、
  これで “もういいや…” と燃え尽きてしまわないように!
  生徒のみなさんに合唱を続けることをお願いします。

  そして、全国大会に出場できたというだけではなく、
  どれだけ卒業後にも合唱を続けられる生徒を出したか。

  ・・・それが、先生への評価になるとも思います」、と。



 ●「委嘱新作ラッシュ!」

 金沢二水の「宇宙」は高嶋みどり先生。
 埼玉栄の「夕顔」、橘の「恋」、安積黎明の「終の日のわたしを焼く」、
金沢泉丘の「脈をみるうた」・・・以上、鈴木輝昭先生への委嘱作品。
 
 ひゃあ、最近の高校合唱部は委嘱をこんなにするんだね〜…とビックリ。
 たまたま委嘱作品が重なった年なのかもしれませんが。
 いずれも力が入った作品・演奏ばかりでした。

 委嘱作品以外で邦人作曲家の曲も、ここ数年で発表された新曲ばかり!
 やはり「またか…」と思う選曲よりも、
知らない曲を演奏してくれた方が個人的には嬉しいですね。

 委嘱新作もそうですが。
 これだけの新しい曲を探し、見つけ、
本番までにここまでの演奏にしてしまう先生と生徒さん方に頭が下がります。


 ●「あたたかい拍手」

 高校Bで一番最初の出番だった「山形県鶴岡南高等学校音楽部」。
 指揮する先生が立つ位置に椅子が置かれ「?」
 そして、なかなか入場しない生徒さんに「??」

 ・・・しばしの沈黙の後のアナウンス。
 「事情により・・・」次の出番の不来方高校から、とのこと。

 後から聞いた話によると、
指揮者の西田先生が出場直前に心臓発作で倒れ、
救急車で病院に運ばれていたという緊急事態。

 次々と他団体の演奏は進むが、鶴岡南の出場がどうなってしまうのか。
 ひょっとしたら、このまま演奏の機会はなくなってしまうかも・・・。
 と会場全体が思っていたところにアナウンス

 「鶴岡南高校の出演は、予定を繰り下げ、
  一番最後に演奏することとなりました」

 演奏が聴けるって! その瞬間、客席から拍手が。

 そして最後のはずだった
20番目の西城陽高校の演奏後に入場する鶴岡南の生徒たち。
 生徒さんが姿を見せた途端、「待ってたよ!」というような
あたたかい拍手が客席全体から湧き起こり、
団員134人全員が並び、さらに先生が礼をするまでの長い時間、
その拍手はずっと続きました。

 14時40分演奏の予定が、19時20分。
 実に4時間30分の予定されていない緊迫した時間。
 先の見えないプレッシャーに生徒さんはよく耐えたと思います。

 そして、そんな事情を差し引いても、演奏は本当に素晴らしかった。
 課題曲の第一声が鳴り響いた瞬間、私の目が熱くなりました。
 

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それでは機会がありましたら、2004年の「全国大会あれこれ」をお楽しみに!




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