早稲田大学混声合唱団:団員さんの声 その4

 
 
●オーディション(AD)について

 文吾  そして各演奏会の前に
      オーディション(以下、ADと略します)が
      あるそうなんだけど、その説明を。

 ケイコ ADだけで、独立したものではなくて
      あくまでも『特練の締め』、なんです。

      ADに受からないとステージに乗れないんですが
      落とすためにADをやるわけではないので…。

 文吾  うんうん、なるほど。

 ケイコ 前期だったら六連、同志社交歓の前。
      後期なら定期演奏会の前に、
      1次、2次に分かれたAD期間、というのがあって。

 文吾  ちょ、ちょっと待って。
      その1次、2次、と言うのは?

 ケイコ “エレイソン”(AD最終日のことをこう呼ぶ)までに
      演奏曲すべてが受かっていないと
      ステージに乗れないんですけど。
      その合格の基準が1次、2次で違うんですね。

 文吾  えーと、その基準って?

 ケイコ 1次ADの最低基準は
      ◆音が取れている
      ◆楽譜上の指示が守られている

 文吾  その1次が受かったら2次に進む、と。
      …じゃあ2次ADの基準は?

 ケイコ 2次ADの最低基準は
      ◆暗譜ができている
      ◆練習での指示が反映されており、
        曲を自分のものにできている
      ◆1次の基準を踏まえた上で、
        自主性を持って歌うことができる

      ・・・となってます。

 文吾  ぐはー。
      1次の基準をクリアするだけでもスゴイのに、
      「曲を自分のもの」「自主性」って!
      …またエライ基準を・・・。

 ケイコ それで1次ADの時から、
      1曲を最初から最後まで通して
      ひとりで歌う、という。

      サブリさんが伴奏をキーボードで弾いたり、
      他パートを歌ったり、それで1曲を通します。  
 
 文吾  ・・・すげー。2次はしかも暗譜なんだよね。

 ケイコ 暗譜ですね〜。   
      
 文吾  その合格って、誰が決めるの?

 ケイコ あ、サブリさん、それぞれの判断ですね。
      ADの流れも特練といっしょで
      受け手がサブリさんにADを予約して
      1対1でADをみてもらうようになってます。

 文吾  なるほどー。
      でも、個人によって技術の上達度は違うから
      判断が難しいよねえ。

 ケイコ ・・・そうなんですよー。
      サブリさんによっては
      「ここまでがんばったなら合格よ〜」
      …という人もいれば。

 文吾  「ダメッ、もう1回!!」
      …という鬼サブリもいる、と(笑)。

 ケイコ ・ ・ ・ ・ (苦笑)。

      パートによっても違うんですけどね。
      テノールなんかは「落ちてナンボ!」の世界で
      よく落とされるみたいですし。
      …ソプラノはそんなにドカドカ落ちませんが。

 文吾  サブリさんのADは誰が判断するの?

 ケイコ それはパートリーダーがみます。
      まずサブリさんがADに受かっていない曲だと
      サブリさんは他の人たちのADを見れないので。

      最初にサブリさんたちのAD(通称:SAD)を済ませて、
      他の団員さんのADに移る、となりますね。

      やっぱりサブリさんの合格基準は
      通常より厳しいものとなってます。

 文吾  ケイコさんはパートリーダーだったということで。
      …じゃあサブリさんたちのAD(SAD)では
      さぞかし落としちゃった?(笑)

 ケイコ え、えぇ。…けっこう落としちゃいました。
      先輩のサブリさんを落としたりして。
      ・・・ひゃ〜〜〜。

 文吾  (笑)。
      でも、必要なことだよね。

 ケイコ そっ、そうですね…。
      サブリさんのADは合格基準がある程度高くないと、
      パトリの理想が団員に伝わらないので・・・。

 文吾  パートリーダーのADは誰が?

 ケイコ 学生指揮者が見ます。
      パトリのAD(通称:PAD)は各パートのパトリ合計4人の
      アンサンブルで見るんです。
      このADも1次、2次に分かれますし。

      ADの順番は
      パトリのAD(PAD)、サブリさんのAD(SAD)、
      そして一般のAD。
      …というものになってます。

 文吾  ほ〜・・・。まずチェックする側が
      しっかり基準をクリアしてから、
      他をチェックするんだね。

      そういや、AD最終日のことをなんで
      “エレイソン”って言うの?

 ケイコ あの・・・。

      “eleison : 憐れみたまえ”…という(笑)。

 文吾  あ! そうだった、なるほど。
      これで受からないとステージ乗れないから
      『憐れんでくれ!』…と!!(笑)

 ケイコ そうです(笑)。 

 

オーディション

合格基準 

1次オーディション

◆音が取れている
◆楽譜上の指示が守られている

2次オーディション

◆暗譜ができている
◆練習での指示が反映されており、
 曲を自分のものにできている
◆1次の基準を踏まえた上で、
 自主性を持って歌うことができる


                                  (その5へ続く)


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